人物紹介|2026.09.09
167cm・67kg。BreakingDown18のオーディションから名前を出し、20で本戦初出場。元キック王者との試合は本戦ドロー、延長で敗れた。本人が語る「格闘技歴10年」と、初めて顔に傷をつけられたオーディションまで。
結論から言えば、狂犬は「BreakingDownの喧嘩自慢枠から出てきた選手ではなく、キックボクシングの育成年代でトップ層にいた人物」である。朝倉未来CEOは彼について「昔、平本とか天心と一緒にしのぎを削ってたわけでしょう。超エリートだったんだよ」と語った。本人も格闘技歴を10年と話している。この記事では、確認できる出場記録と本人の発言から、その経歴を整理する。
BreakingDownの出場者は、街の喧嘩自慢と競技経験者が混ざっている。狂犬は明確に後者である。朝倉未来CEOはBreakingDown21のカード発表の場で彼を注目選手に挙げ、こう語った。「昔、平本とか天心と一緒にしのぎを削ってたわけでしょう。超エリートだったんだよ」。ここで名前が挙がる「平本」は平本蓮、「天心」は那須川天心のことである。
この評価が意味するところは大きい。キックボクシングの育成年代でその2人と同じ層にいたということは、10代の時点で全国レベルの環境にいたということだ。BreakingDownの1分ルールでは、街の腕っぷしが競技経験を上回る場面もあるが、狂犬の場合は逆に「競技の土台を持った人がこのリングに来ている」という構図になる。
本人も自身の格闘技歴について語っている。BreakingDown21のオーディション後に公開されたコメント映像では、格闘技を10年ぐらいやってきたという趣旨の発言をしている。CEOの評価と本人の説明は、この点で一致している。
一方で、本名、生年月日、出身地といった基本情報は公式に公表されていない。ネット上には推測を記した情報もあるが、確認できる一次情報がないため、この記事では扱わない。なお「狂犬」というリングネームは格闘技界で複数の選手が使っており、他競技や他団体の同名選手と混同しないよう注意が必要である。
街の喧嘩自慢枠ではなく、キックの育成年代出身。CEOの評価と本人の「格闘技歴10年」が一致している。
狂犬の名前は、本戦に出る前からオーディションの段階で知られていた。サンケイスポーツは2025年12月、BreakingDown18のオーディション未公開映像として「狂犬、スパーリングで地下格闘技2団体王者の倭をマットに沈める」という内容を公開している。オーディションのスパーリングで、地下格闘技2団体の王者を相手に結果を出したということになる。
続く2026年3月のBreakingDown19オーディションでは、別の形で評価された。同じくサンケイスポーツが「狂犬が男気の承諾 秀虎戦の直後にTETSUと激突、異例の連戦スパーリング」として公開している。1試合分のスパーリングを終えた直後に別の相手との連戦を持ちかけられ、それを引き受けたという流れである。
つまり狂犬は、BD18とBD19の2大会でオーディションに登場し、いずれも印象を残しながら、本戦のリングには上がっていなかった。運営側から「強い」と認識されつつ、対戦カードとして成立するまでに時間がかかったタイプの選手だといえる。
BD18・BD19のオーディションで結果を残しながら、本戦出場までは時間がかかった。
狂犬の本戦デビューは2026年6月のBreakingDown20。相手はHIROTOで、元キックボクシング王者という経歴を持つ選手だった。公式のリングアナウンスによると、青コーナーの狂犬が167cm・67.05kg、赤コーナーのHIROTOが166cm・68kg。体格はほぼ互角である。
試合内容は、初出場としては十分に評価できるものだった。1分間の本戦では決着がつかず、3人のジャッジ全員とオーディエンス判定のすべてがドロー。そのまま1分間の延長戦に入り、延長ではHIROTOがすべてのジャッジを取って勝利した。サンケイスポーツはこの試合映像を「元キック王者のHIROTO、初参戦の狂犬との殴り合い制し4勝目」と表現している。
結果は敗戦だが、記録の読み方としては注意が必要だ。本戦をドローで終えているということは、1分間の中で元王者と互角に渡り合ったということである。延長で差がついた要因としては、経験の差と、本戦で消耗した後の残り方が考えられる。
この試合の後、HIROTOは公式チャンネルの試合後インタビューで狂犬に触れ、リング上で言葉を交わしたこと、そして「また絶対やろうぜ」と自分から声をかけたことを明かしている。勝った側が再戦を提案する内容であり、狂犬の試合内容が相手からも評価されていたことがうかがえる。
元キック王者と本戦ドロー。延長で敗れたが、内容は初出場として高く評価できる。
BreakingDown21のオーディション後、公式チャンネルは狂犬・七原嘉輝・SHUTAの3選手のコメントをまとめた映像を公開した。この中で狂犬は「気合入ってます」と述べ、今回のオーディションについて「いつもと違って人数も少なくなって、集団っていう感じじゃなくていい感じだった」と振り返っている。
対戦相手についての希望も語られている。リキと戦いたかったという趣旨の発言があり、リキも喧嘩自慢としていい男だと評価したうえで、スパーリングを1回ではなく2回3回とこれからも重ねていきたいと話していた。ただし実際のBreakingDown21では、リキはバンタム級王座決定トーナメントの準決勝で三河拳士と対戦することになり、この希望は実現していない。
そしてこの映像でもっとも印象的なのが、格闘技歴に触れた部分である。格闘技を10年ぐらいやってきたが顔に傷をつけられたことがなく、今回のオーディションで初めて傷をつけられたので気持ちが入っている、という趣旨の発言だ。10年やって初めて顔を傷つけられたという事実は、彼が競技として守りを固めてきたことと、今回の相手が簡単ではないことの両方を示している。
締めくくりでは「熱気のある試合をするので、ぜひ皆さん北海道まで応援しに来てください」と呼びかけた。なお、この映像は3選手のコメントが続けて収録されているため、一部の発言について話者の特定には限界がある。上記は狂犬の発言部分として確認できる範囲に絞って記述している。
格闘技歴10年で初めて顔に傷を負ったのが今回のオーディション。相手の強さを裏側から示す事実である。
BreakingDown21で狂犬が戦うのは第5試合、フェザー級キックボクシング。相手はみつたかで、狂犬と同じBreakingDown20が初出場の選手である。
朝倉未来CEOはみつたかについても言及しており、「空手世界大会1位ということでけっこう強いんですよね」と評している。つまりこの試合は、キックボクシングの育成年代出身の狂犬と、空手で世界大会を制した経歴を持つみつたかという、いずれも競技の土台を持った選手同士の対戦になる。CEOが第5試合という早い順番のカードを注目に挙げたのは、この組み合わせの中身によるところが大きい。
見立てとしては、打撃のルールで戦う以上、両者の距離の作り方が結果を左右する。空手ベースの選手は一発の踏み込みが速く、キックベースの選手は連打とコンビネーションで押す傾向がある。1分間という時間では、先に自分の距離を作った側がそのまま押し切る展開になりやすい。
狂犬にとっては、BD20の延長負けから初勝利を挙げる機会でもある。オーディションで顔に傷を負ったという経験を、本戦でどう返すか。競技経験者同士の試合として、35試合の中でも密度の高い1分間になる可能性が高い。
相手は空手世界大会1位。競技の土台を持つ者同士の対戦で、距離を先に作った側が押し切る。
狂犬は本名や出身地が公表されていないため、経歴を追うには映像を辿るのが確実である。オーディション段階の映像はサンケイスポーツが未公開映像として複数公開しており、本戦の試合映像と試合後インタビューは公式チャンネルにある。今回のBD21については、オーディション感想の映像で本人が直接語っている。
注意したいのは、リングネームの重複である。格闘技界には「西の狂犬」「ハマの狂犬」といった呼称を持つ別の人物や、狂犬と呼ばれる他競技の選手が存在する。検索する際は「狂犬 ブレイキングダウン」のように団体名を添えないと、別人の情報が混ざる。
この記事の情報は、公式チャンネルとサンケイスポーツで一般公開されている映像、公式のリングアナウンス、およびゴング格闘技が伝えた朝倉未来CEOのコメントに基づいている。BreakingDown21の結果と本人のコメントが出た時点で、内容を追記していく。
本名非公表のため映像で追うのが確実。同名の別人が複数いるので、検索には団体名を添える。